今月の特集

かつお節(枯節と荒節)

一昔前の光景。
朝起きると、朝ごはんの支度をしている母の手伝いでかつお節を削るのが私の仕事!
うまく薄く削れずに、みんな粉になってしまう。この時どの家庭でも使っていたのが本枯節。
昔は当たり前の光景。でも今は本枯節ところか、削ってある鰹節でダシを取ることさえ少なくなっています。

かつお節(枯節と荒節)
   かつお節削り器
かつお節(枯節と荒節)
    かつお本枯節
かつお節(枯節と荒節)
   かつお荒節
かつお節の製造工程は簡単に言うと
① 成型
原料のかつお節の頭や内臓を取り、かつお節の形に成型
 
② 煮熟
カツオをゆでます。
 
③ 骨抜き
カツオについている骨を抜きます。
 
④ 焙乾
薪を燃やし、煙で燻す(いぶす)。荒節の出来上がりです。「花かつお」「かつお削り節」は荒節を削った商品です。
 
⑤ 表面削り
ここからが本枯節の工程です。表面の脂肪分を削り取り、骨抜き後の穴やキズをすり身で修繕します。
 
⑥ カビ付け・貯蔵
カビを付けて熟成させてうまみを引き出す。
⑦ 天日干し 手入れ
本枯節の出来上がりです。「かつおぶし削り節」「枯かつお節削り」は枯本節または本枯節削った商品です。
 
本枯節の製造はカビ付けなどで製造に6ヶ月以上かかり、コストも高いことから製造に約1ヶ月で出来る荒節が主流を占めています。

荒節と本枯節の違い

荒節は燻した香りが非常に強く、カツオらしい味がします。
本枯節は口の中で噛んでいると、かつお節の中からうまみがどんどん出てくる感じがし、削り節片が口の中に溶けていくような感じがします。何度もカビ付けした結果、奥深い味で口当たりの良い食感となっております。

メーカーの商品への取り組み姿勢

 荒節は長時間燻されていることから燻し臭さが残ります。
燻し臭さが強すぎるとカツオの匂いはもとよりほかの食品の風味などに影響を及ぼします。
こちらの商店の「かつおけずり節」は、削る前に下処理工程を余念なく行い、できるだけ「いぶし臭さ」を抑えたものに仕上げております。

通常は荒節をご使用されているとは思いますが、時代の流れの中で製造メーカーも減ってきております。なかなか食す機会が少なくなってきておりますので、一度は奥深い昔ながらの本枯節を子供たちに味わっていただきたいものです。

左…荒節 右…枯節
左…荒節 右…枯節
 
味は冷まして!
ダシを取ってみると、本枯節は燻し臭さはせずに透き通ったダシとなりました。
温かい時よりも冷めた時の方が雑味が邪魔をせず旨味も良く奥行きのある上品な風味が感じられ違いが判りました。
 
おめでたい時に・・・・
かつお節は昔からおめでたい時に使われてきました。
かつお節は真ん中で切り分けられてつくるのだけど、背中を雄節、お腹を雌節と呼んで二つ合わさることから仲睦まじい夫婦になってほしいとのことから引き出物に使われたり、「勝男武士」とも書くことから赤ちゃんが産まれたときのお祝いや、更に「勝つ男」(かつお)にちなんで、七五三や入学祝にも使われていたそうです。